狭小住宅を考えるにあたって
1.天井の「高さ」はいろいろ
狭小住宅は平面方向の広さが限定されていることから、2,3階と上に層を重ねて住むことになることが多いです。
このときに部屋や空間の天井の「高さ」を今一度考え直してみたほうが良いと思います。使い方や雰囲気、あるいは、お使いになる個々人で変わってくるはずなのに、多くは同じ「高さ」の部屋を単純に積み重ねたものになっています。低くてよい場所、高いほうがよい場所いろいろあってよいのです。低くてよい場所の上に高いほうがよい場所を持ってくる等すれば、断面方向の組立ての選択肢が増えてきます。特に収納空間は平面計画上ネックになることが多いため、断面的な処理が非常に有効です。
これに、小屋裏収納と地下空間、塔屋の法的な緩和措置を組み合わせることで、狭小住宅ならではの親密なお住まいが合理的に実現できるのではないでしょうか。
2.空間の「仕切り」もいろいろ
空間の「仕切り」には、水平方向は「壁」、垂直方向は「床」があります。
狭小住宅を考える上では、この厚みや素材を意識したほうが良いでしょう。
仕切られる空間を広くするには、「仕切り」の厚みを構造的に工夫して薄く造ることが効果的です。
薄くしないのなら「仕切り」そのものに収納や本棚等機能を与え、あえて厚く造るという考え方もあります。
使い方によっては可動や可変の「仕切り」とすることも有効です。仕切る要素が限定されていれば、透明、半透明、格子やメッシュのような素材を用いた仕切り方も考えられます。
これら空間の「仕切り」を考えることは、空間のつながりを考えることでもあります。
- 「壁」を全面収納に
- 「壁」を全面本棚、
「床」を掘り込み机、
ガラス床に - 「床」を収納、掘り炬燵に
- 「壁」を全面本棚に
- 壁面内蔵建具と置き畳でリビング゙が和室に
- 壁面内蔵建具でリビング小上がりが和室に
- 全面ガラス天井
- グレーチング床
- メッシュ階段、半透明建具
- 簾スクリーン
3.「外郭」は⾼性能に
上記、1.2を考える上で重要なのは、狭小住宅で変化することがほとんど考えられない建物の屋根や外壁といった「外郭」を高性能に造っておくということです。
内部の自由度を担保する構造体として、あるいはコンパクトな内部環境を良好に保持する環境体として
数ある与条件の中でも上位の優先順位での計画が望ましいと思います。